ゆるやかな記録

何となく過ぎてゆく毎日とひとりごと、ほぼ進まない英語の勉強について。レベルは中級かなぁ。

泣きたくてたまらない

予定通り英検の体験レッスンが終わり


楽しい気分でドアを開け雨上がりの外に出たら、  


狭い道の反対側を若いお母さんが小走りしていた。


胸元に赤ちゃんを抱いていた。       





若いから走れるんだなあ~、私なら転ぶわ。


ああ、見てるだけでドキドキする、


と思ったら、急に古い記憶がよみがえった。





1998年くらいだったと思う。


都内のどこかの歩道を歩いていた時、


目の前を歩いていたカップルのうちの女性の方が


抱いていた1才には程遠いほんの小さな赤ちゃん、


横抱きにしていた赤ちゃんを


植え込みの木の根本に近い地面に ぽいっと


 【落とした】





彼女は声もあげず取り乱すこともなく、  


慌てるでもなく、駆け寄るでもなかった。


『あ、落としちゃった。』


みたいな声が聞こえたように記憶している。  


リンゴでも落っことしたみたいな軽さ。  





そして赤ちゃんを拾い上げた。

 

赤ちゃんが泣いていたか泣いていなかったか


今、私は覚えていない。





隣にいた男性、つまり赤ちゃんの父親だろうが


この人もさほど慌てず。


 



私は自分の目を疑った。


 


 

何をすべきかもわからなかったし


ビックリして言葉も出ないままだった。





今ならわかる。

 

あの母親は٠٠٠

  




あのあと何事もなくあの子が幸せに育ったとは


考えられない。


今ならわかる。





あの時は、自分が見た状況を理解できなかった。



 


20数年ぶりに突然よみがえった記憶。


雨で濡れた舗道を歩きながら、


泣きそうで泣きそうでたまらない私。


周りに人が居なかったから大泣きしていただろう。


今も、涙が出てくる。





こういう時、神様はなんてひどいんだと思う。


神様なんていないと思う。


 



あの若い母親はすらりとして小綺麗そうな人だった。


でも、幸せじゃなかったんだ。

 

彼女自身も。


愛されていると思えずに育ったのかもしれない。





こういう時、しみじみと、生きているのが辛くなる。


あの子は今、20代半ばか。


健康な体で自立していることを願うばかり。